ディズニー データベース 別館

「ディズニー データベース」(https://w.atwiki.jp/wrtb/)の別館です。日本の誰か一人にでも響けばOKな記事を書いていきます。

2021-01-01から1年間の記事一覧

【連載】幻のねずみ #52『空想動物記IX ウォルト・ディズニーの夜明け』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 世界が繰り返されていることを知ったマウスはその張本人を問いただすために、意を決してグリムホールドを開いた。中から現れたムーアは自分を閉じ込めた張本人であるマウスを睨みつけていた。マウス「あ…

【連載】幻のねずみ #51『空想動物記VIII 最後の仲間』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 フェアリー・ホロウにいるコバルトのもとに地球から着信があった。かつてマット・ツーから頻繁に連絡を受けていた回線だった。コバルト「…はい。」 マウス「お久しぶりです。コバルトさん」 コバルト「あ…

【連載】幻のねずみ #50『空想動物記VII マウスの覚醒』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1965年の夏、マウスはもう一つの世界からやってきたウサギのラッキーの訪問を受けていた。ラッキーがいた世界では、彼こそがウォルトのイマジナリー・フレンドであり、その世界のロイが亡くなる瞬間にこ…

【連載】幻のねずみ #49『10年目の夢と目覚め ver2』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 時は少し遡って、1964年8月27日。『メリー・ポピンズ』のプレミアが始まる数時間前、私の到着を待つウォルトは不思議な手紙を受け取っていた。「親愛なるウォルト・ディズニー様。我々の手違いであなたの…

【連載】幻のねずみ #48『あるウサギのしあわせ』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1965年の夏、私はIFAの事務局へと向かい、黒コートの動物といよいよ対面することとなった。厳重に檻に閉じ込められた彼と顔を合わせるのは実質初めてであった。コングがそいつのフードを外すと、中から出…

【連載】幻のねずみ #47『FAREWELL』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1964年8月27日。ウォルトが情熱を注いだ『メリー・ポピンズ』はプレミア上映当日を迎えた。ウォルトは迷った末、ロンドンへと帰ったトラヴァースにプレミアの招待は出さず、ロンドンでのプレミアに招待す…

【連載】幻のねずみ #46『ごく普通の夜』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 ウォルトはロンドンのチェルシーにあるトラヴァースの自宅へと向かった。そして数日後、バーバンクのスタジオに戻ってきた彼はトラヴァースからようやく契約書にサインをもらったことを嬉々として告げた。…

【連載】幻のねずみ #45『ウォルト・ディズニーの約束』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1959年、ウォルトがテレビ、テーマパーク、万国博覧会と手広くこなしている間に映画の関心はほぼ一本に絞られていた。20年前から原作者に何度交渉しても落とし所が見つからず、保留となっていた『メリー…

【連載】幻のねずみ #44『永遠に完成しないパーク』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 記者たちはディズニーランドを絶賛したが、一部では批判記事もあった。「世界や宇宙、これまでの人類の歩みが安っぽい定番商品に姿を変えて並んでいる。ここでは生き物は鮮やかに彩られ清潔で安全で無害…

【連載】幻のねずみ #43『過去の思い出と未来への挑戦』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1955年7月13日、ウォルトはフロンティアランドのアメリカ河を航行する蒸気船マークトウェイン号の処女航海にウォルト夫婦と親しい300名を招待した。このイベントはウォルトとリリーの結婚30周年を記念し…

【連載】幻のねずみ #42『西部と海の冒険家たち』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1954年10月27日、ディズニーランドの宣伝と資金集めのために企画されたテレビ番組『ディズニーランド』は放送を開始した。司会はウォルト自らが担当し、建設中のディズニーランドの様子や放送するアニメ…

【連載】幻のねずみ #41『使われなかった名前』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1953年の秋、ディズニーランドにふさわしい土地探しはいよいよ終焉を迎えた。ウォルトはスタンフォード総合研究所に、テーマパークを建設するにふさわしい場所のアドバイスを求めており、その結論はアナ…

【連載】幻のねずみ #40『ウォルトと私』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 長編アニメーション映画を復活させたディズニーは、1950年に第一弾『シンデレラ』を大ヒットさせたものの、続く1951年の『ふしぎの国のアリス』では苦渋を味わうこととなった。この二作と同時に制作を進…

【連載】幻のねずみ #39『ハーブと地球で一番幸せな場所』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1953年9月某日。私はウォルトのディズニーランド構想を聞いた。入口からはまっすぐウォルトの愛する古き良き時代のメインストリートが伸びている。メインストリートの終点、すなわちディズニーランドの中…

【連載】幻のねずみ #38『ウォルトの好奇心』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 ウォルトは海外に出かけるたびに各地の遊園地を訪れるようになり、妻のリリーも飽き飽きしていた。遊園地に限らず見本市やサーカスなど様々な催し物を見学し、どのような出し物が人気を呼ぶのかや、来場…

【連載】幻のねずみ #37『眠れる妖精と眠れぬ黒コート』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1952年。10年に一度の妖精の訪問の日は、悲しい訃報から幕を開けた。10年ぶりに地球に上陸したコバルトは私とコンタクトを取ると、同様にムーアクイーンもやってきていることを知らせてくれた。ムーアは…

【連載】幻のねずみ #36『夢はひそかに』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 『シンデレラ』では『ファンタジア』ほどの予算がなかったことから、全編を実写で撮影してからレイアウトを参考にして絵を描いていく手法をとった。実写フィルムを参考にして絵を描いていく方法は創造性…

【連載】幻のねずみ #35『新しいヒロイン』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 第二次世界大戦は政府が発注したプロパガンダや南米をテーマにした映画で凌いでいたが、戦後にはスタジオは経営危機に陥っており、本作で挽回しないと先がない状態であった。ウォルトはロイの反対を押し…

【連載】幻のねずみ #34『素晴らしき冒険旅行』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 ウォルトは再び『メリー・ポピンズ』の原作者であるP・L・トラヴァースに手紙を送った。トラヴァースは映画化権についてウォルトの交渉に応じたが、彼女は脚本を事前に検閲させるようにと主張した。ウォ…

【連載】幻のねずみ #33『動物たちの国』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 戦争が終わるとウォルトは長編映画の計画を立てようとウズウズしていた。私は保守的なロイに賛同し、コスト面などの心配をするようになったが、何か言うたびに「君ってやつは兄さんに似てきたなぁ」とウ…

【連載】幻のねずみ #32『アメリカの顔』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1942年公開の『バンビ』はウォルトの完璧主義が光る美しいアニメーションだったが、コストが掛かりすぎたことから大きな赤字となった。12月、ウォルトは納税のプロモーションとなる動画を依頼された。第…

【連載】幻のねずみ #31『総集編・ねずみがくるまでお待ちください(後編)』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 二人の歴史的な出会いの後、私はマット・ツーに会いに行った。マット・ツーは「私とマウスさんが手を組んだおかげで、チャーリーとディズニーさんが円滑にビジネスを進めることができたのです。イマジナ…

【連載】幻のねずみ #30『総集編・ねずみがくるまでお待ちください(前編)』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1965年7月17日。私は世界中で最も幸せな遊園地にいたと思っていた。しかしある男に近づいた瞬間、私の身体はふわっと宙に浮かび、周りの景色は一瞬で真っ黒になった。目が覚めると、私は1928年のある列車…

【連載】幻のねずみ #29『決意を新たに』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1942年。IFAの事務局で私はマット・ツーとコバルトからここまでの話を聞いた。(#23~28)私は自分が彼女らに星にされそうになっていたことに驚いたが、踏みとどまってくれていたことを知ると一種の安心を…

【連載】幻のねずみ #28『空想動物記VI コバルトの帰還 特別篇』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 マウスがIFAの事務局に戻ってくると、マット・ツーは呆れた顔を作って彼を迎え入れた。マット・ツー「マウスさん。まったく、どこへ行ってたんですか?」 マウス「すみません。どうしても確認したいこと…

【連載】幻のねずみ #27『空想動物記V ねずみの逆襲 特別篇』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 「マウスさん、ちょっとここでお待ちください」マット・ツーはそう言うと、奥の階段を下っていった。地下の部屋で待機していたコバルトは何が楽しいのか、ウキウキして「どう?来た??」とマット・ツー…

【連載】幻のねずみ #26『空想動物記IV 新たなる仲間 特別篇』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1932年の某日、マット・ツーの調査は十分と判断され、ついに突然変異のイマジナリー・フレンドであるマウスにとどめを刺すときがやってきた。マット・ツーがマウスに接触して彼をIFAへと案内し、コバルト…

【連載】幻のねずみ #25『空想動物記III ルールの復習』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1921年。チャップリンに認められ、イマジナリー・フレンド第一号となったマット・ツーは充実した毎日を過ごしていた。さて、先日チャップリンにマット・ツーを託すために地球に直接上陸したコバルトだっ…

【連載】幻のねずみ #24『空想動物記II アローンの共生』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1918年、第一次世界大戦が終わりを迎えようとしていた。1,600万人もの犠牲者を出した戦争は人類にとっての負の遺産として語り継がれていたが、落ちこぼれの妖精たちからすると恰好の舞台であった。天界に…

【連載】幻のねずみ #23『空想動物記I ファントム・ドッグ』

※この物語は事実をモチーフにしたフィクションです。 1889年、チャーリーは誕生した。彼はわずか5~6歳の頃、人気女優だった母ハンナの代役として舞台に立ち、その堂々たる振る舞いを見せていた。その頃から舞台に立つことが彼の心の喜びであったが、一度で…