ディズニー データベース 別館

「ディズニー データベース」(https://w.atwiki.jp/wrtb/)の別館です。日本の誰か一人にでも響けばOKな記事を書いていきます。

DDBの軌跡(1)~ディズニー データベースができるまで~

別館ではご無沙汰しております。(いつも言ってる)
ディズニー100周年いかがお楽しみでしょうか?

さて、「ディズニー データベース」(以下、DDB)ではひっそりと保守性を高める取り組みを計画してまして、「これから」の前に「これまで」、すなわちDDB開設までの道のりをご紹介しちゃおうというのが今回の企画となります。

さて、結論としてDDBを開設した理由ですが…

①ディズニーの情報を日本語で閲覧できるサイトを自分が「読みたい」
②ディズニーに関する情報をリンクで「繋げたい」

以上の「読みたい」「繋げたい」の二本立てでお届けしております。

開設当時は個人サイトよりSNSの時代

21世紀初頭、ディズニーの貴重な情報源のひとつに個人サイトというものがありました。今やお手軽なSNSの発達によりディズニー好きの発信の場とその人口は当時の比ではないと思いますが、当時はそうした行動力をお持ちの方々が私たちに情報を届けてくれていました。そうした書き物を繰り返し読むことは一期一会のSNSの書き込みを見るのとは違った趣があります。

今はとにかく情報が速いです。それに一口にディズニーといっても分野は幅広いし、皆さんそれぞれの得意分野に大変お詳しい。そんな新たな情報や発見がタイムラインに乗り礫のようにすぐ流れていってしまいます。そうした知識が個人サイトで読み物として整頓され閲覧できる時代は変わってしまったのです。

「読みたい」情報はWikipediaに集約される

個人サイトが伝道師となる時代は移り変わり、不特定多数の人々が情報を持ち寄るWikipediaにその役割が集約されていきました。なるほど、確かに一人より多人数の知識が集結したほうが情報量は充実するに決まっています。誰もいたずらしなければね…。

Wikipediaにはそうした暴走記事を取り締まる役職の方が一定数存在します。そう、Wikipediaにはルールがあるんです。たまにヒートアップした記事で「Wikipedia独自研究の場ではありません」や「Wikipediaは百科事典です」みたいなメッセージを見かけたことはないでしょうか。Wikipediaは百科事典という体裁でルールがあれこれ決められているのです。

詳しくは割愛しますが、言うなれば私が求めているサイトにしてはWikipediaという場は真面目すぎたのです。

DDBで「繋げたい」

DDBでやりたいことは「繋げたい」ことです。ネット上のすべてのディズニー好きと繋がりたいのでこれを見た人はフォローしてくれれば全力でフォローしにいくので…系のアレではなく、知識と知識をリンクして繋げることです。

私がディズニーを楽しむ要素のひとつに、横に長いマルチメディアというところがありまして。たとえば白雪姫というキャラクターを一つとっても、映画や絵本などの物語で初めて触れた人もいれば、パークのアトラクションやパレードで初めて出会った人もいるし、PSPの『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』で知った人もいるかもしれない、ましてや「『きらら☆プリンセス』に出てくる人でしょ?」とか「メアリー・マーガレットのこと?」って人がいてもおかしくないわけです。白雪姫に命を吹き込んだアニメーターや声優もいるし実写キャストもいます。こうしたものを整頓してリンクで追える場にしたい。

キャラクターだけでなくアイテム(オブジェクト)や場所(ロケーション)も同様です。Wikipediaでは「アンディ・デイビスの家」なんて記事を作った時点で不穏な空気が漂いますが、DDBなら『トイ・ストーリー』のアンディの家の登場作品(映画だけでなくテーマパークやゲームソフトもね!)や所属するおもちゃ、引っ越しの履歴に言及する芸当も許されます。

一例を挙げると、「今年はうさぎ年だな」で、ウサギのキャラクターを一覧で表示しそこから一体一体の個別記事に飛べるようにもしたいです。そしてキャラクターの個別記事から東京ディズニーランドのショーパレ出演履歴を見て、「イースターパレードにこのウサギキャラまだ出てないじゃないか…」みたいな気付きも得たい。

もっと極端なことを言えば、リンゴのページに飛んで…
◆『白雪姫』で魔女が使用した →毒リンゴ
◆『ピノキオ』でゼペットが学校へ向かうピノキオに持たせた
◆『グーフィーの先生はお人好し』でジョージが先生(グーフィー)に渡した
◆『魔法にかけられて』でナリッサ女王が使用した →毒リンゴ
◆『キングダム ハーツIII』で食材として登場

…みたいに、ディズニーにおけるリンゴのことを横軸で知りたい。(さすがにここまでは到達できないつもりのやつ)

レンタルwikiとしての出発

ディズニーの情報をまとめたものを読みたいけど、Wikipediaのルールでは物足りない……無いなら自分で作ればいいか……DDB開設へと至る経緯はそれで十分でした。

往年の名だたるサイトのようにHTMLやCSSを組む必要性も考えましたが、それらを勉強するより情報を集めることに重点を置きたい、またwiki形式のサイトでやりたいことには十分という理由から、レンタルwikiを利用することとしました。フォーマットを検討して色々見て回っていた時にしっくりきた「ポケモン対戦考察まとめwiki」に倣ってアットウィキを選択し、2009年にスタートしました。

英語圏にはディズニーの情報に特化したfandomの「Disney Wiki」があります。そちらにはWikipediaとは違い、キャラクターや作品に登場するアイテムや場所の個別記事が存在します。そしてこれはまさにDDBでやりたいことの7割が実現されている、一種のモデルケースでもあります。何ならこれが日本語で読めて、日本特有の情報(吹替や東京のパーク、日本語カバーなど)が付与されていれば、もはやDDBを始めるに至った理由がもう解決します。

実は日本語版の「Disney Wiki」も存在しますし、他にもディズニーWikiの名を冠したサイトはいくつか存在します。(後発でひどいものだと「ディズニー データベース」の名前やリード文まで被せにきてるやつもあります)

これらはディズニーの情報を集めたwiki形式のサイトという意味では、DDBの完全なる競合に当たります。ただし、視察した限りだと彼らには共通した欠点があって、「管理者が仕切るだけ」「白雪姫現象を起こしている」のどちらかに分類されます。そしてDDBはそれを回避する強みを持っています。

挫折するwikiたちと「白雪姫現象」のお話

wikiだから管理者が仕切るのは当たり前では?」と思われるでしょうが、D系wikiの管理者の多くは執筆能力(意欲含む)を持ちません。恐らく「ディズニーの日本語版wikiがあったら良くない?」というアイディアから始まり、「開設して映画の一覧ページや、キャラ記事のテンプレも作りました!あとは詳しい人で自由に編集してね!自由といってもルールは守ってね!」に行き着きがちです。枠だけで他の人を巻き込むのは難しいものです。

もう少し能動的な管理者となると、映画の一覧ページを作ってから、「よし、白雪姫のページを作るぞ!」と、最初の長編アニメーション映画である『白雪姫』の記事を作り始めます。………それはもう完璧なほどに。まずはキャラクターの記事をしっかり書き上げ、出演声優、楽曲、スタッフのリンクを作り、それらの記事もしっかり作り上げ、日本一『白雪姫』に詳しいサイトが完成します。しかしそんな完璧な姿勢で長続きすることはなく、2作目の『ピノキオ』や3作目の『ファンタジア』で既にそのクオリティは怪しくなっていきます。大きく飛んで『リトル・マーメイド』のような人気作であれば記事は作られるかもしれませんが、きっとその頃には白雪姫の熱意はどこへやら、セバスチャンの記事の本文は「トリトン王に仕える宮廷音楽家カニ。」の一言で終わることもザラでしょう。

一覧を作って丸投げするタイプと、完璧を求めて序盤で挫折するタイプ。前者については正直いただけないですが、後者については自戒の念も込めて「白雪姫現象」と呼んでいます。もしもの話ですが、MCUの情報サイトがアイアンマンに超絶詳しくてブラックパンサーが1〜2行だとしたらそれはまさに「白雪姫現象」です。ゲームの攻略ブログを書き始めて第1章だけ詳しく解説して失踪したらそれも白雪姫現象ですね。

「白雪姫現象」からの脱却

「白雪姫現象」はディズニーに限らず膨大な情報の収集と整頓に手を出す人が解決しなければない一種のボトルネックのように思えます。

先ほどちらっと「自戒の念も込めて」と言いましたが、まさしくDDBも最初は似たようなものでした。まずは長編映画リストと短編映画リストから始まり、『白雪姫』やミッキーの短編から順に記事強化を図ろうとしていました。しかし、スタミナ切れを起こさないためにも、早々に方針転換して最初の1〜2年はまずは各作品記事の土台を作るところから始めました。

するとこんなことが起こります。

上記はミッキーのデビュー作『蒸気船ウィリー』の記事で、他作品に与えた影響が記述されています。当初はこのような記述はありませんでしたが、後に『ミッキーマニア』や「ファンタズミック!」の記事を作成した際、こちらにも自然に記述が増えていきました。ちょっとした情報だけでも土台があれば、いつかは情報同士が自ずと繋がって新たな気付きを与えてくれる、こうした感覚が自分にとっての楽しみであり、ライフワークとして続ける理由となっているのです。

結局DDBってなんなのさ

DDB本館はこの「読みたい」「繋げたい」を探求する自己満足の場として機能しています。書いたことを100%は覚えていませんから、数年後に自分で読み直して「なるほど、知らなかった!!」ってなることもしょっちゅうです。この「自分が使いたいから作る」というのがまた一つの強みでして、公開を目的としていると「完璧に仕上げないと公開できない」という呪縛が付きまといますが、あくまで自分用なので自分の基準でひとまず投稿してしまいます。

自分がアクセスしやすいように誰でも閲覧可にはしていますしネットに公開する以上、細心の注意は払っています。公開による評価はモチベーションにしようとはしていませんが、それでも開設◯周年の際にいただくお褒めの言葉には大層喜んでいます。(結局なってるじゃねぇか。)いつもお越しいただき本当にありがとうございます。Twitterで仲良くしてくださっている皆様もありがとうございます。

多忙や興味の移り変わりにより数ヶ月更新が滞ることもありますが、自分の楽しみの場である限りは必ず戻ってきています。数年に一度新たなディズニー系のwikiが開設されることはあれど、さほど脅威に感じないのは、管理だけでなく自ら継続して書き続けられるようなプレイングマネージャーが他所に現れないからなのでしょうね。

次回予告

こうして2009年に開設したDDBですが、お気付きでしょうか。DDBがデータベースとは名ばかりのテキストサイトだったことを。記事の管理・編集を効率化するためのデータベース化を歩み始めるきっかけとなる事件が2017年に起きるのですが、それはまた次回のお楽しみ。

後編ではDDBの裏側をご紹介するDDBスタジオツアー、略してスタツアをお届けします。どうぞよろしく!