ディズニー データベース 別館

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『白雪姫』~物語のテーマを検証する

読者のみなさん、お久しぶりです!
初見のみなさん、はじめまして!


充電期間と称して一年間ブログを寝かせ、大河小説を連載していた2021年。2022年になりブログを一度も更新することもなく早くも半年。6月中に記事の更新を目指していたところ、7人のいたずら好きなAIによって7日間乗っ取られてしまっていたようです。


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ようやく彼らの魔の手から解放され、本日正真正銘1年半ぶりの新着記事更新に漕ぎ着けた次第であります。


今回は再出発の第一歩として、長編映画第1作である『白雪姫』のテーマをテーマに投稿したいと思います。(ここまで茶番)


それでは久々に、今回も1億3,000万人の誰か一人にでも響くことを祈って…!

はじめに

映画のストーリーは物語を綴るだけでなく、それを通した教訓やテーマが描かれることも多くあります。


たとえば、『アラジン』では主人公のアラジンは王女に恋をして、身分を偽ることで恋を成就させようとしますが、嘘をつくことで良心の呵責を経験します。


『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』では、野良犬の窃盗集団に仲間入りした子猫のオリバーがお金持ちの少女に拾われ、貧乏生活よりもお金を持つことの素晴らしさを学んでいきます。


で、『白雪姫』については私はテーマがイマイチよく分からないのです。

物語の構造を読み解く

物語の教訓は登場人物が経験した事柄によって「こうしてよかった」「ここをこうすればよかった」という振り返りのプロセスによって描かれることがほとんどですから、誰の視点でこの物語を見直すかが大事になってきます。


で、私は物語を読解することを壊滅的に苦手としています。映画のレビューとかで「映画全体の●●というメッセージが素晴らしかった」のようなフレーズを読むたびに「おぉ、そうなのか!なるほど!」ってなりますし、映画の舞台となる時代背景や専門知識から裏テーマを導き出す人についてはとりあえず凝視します。というわけで、当ブログには普通の作品レビュー記事はほとんどありません。


さて、私に共感してくださった方々が(もしいれば)読解において第一にすべきは物語の構造を掴み取ることです。物語を簡潔なあらすじに落とし込むとすると、「●●が××をする物語」というシンプルな形にすることができます。ここに経緯やら修飾語を付けていくことで、あらすじができあがります。



たとえば白雪姫視点のあらすじは
「その美しさゆえ女王に命を狙われた白雪姫が七人のこびとに匿ってもらうが、老婆に変身した女王の毒リンゴによって眠りの呪いに掛けられてしまい、密かに憧れていた王子様の初めてのキスによって目覚める物語」
です。

「殺人の回避」「こびととの出会い」「毒リンゴの呪い」「キスによる復活」の4点(要素)が線となって紡がれているのが彼女の物語だといえるでしょう。


七人のこびとの視点ではどうでしょうか?
「白雪姫の保護・交流」「毒リンゴの呪い(を許してしまう)」「キスによる復活」といった要素があります。白雪姫と出会って以降は彼女と同じような要素が続いていますね。つまりは七人のこびとは白雪姫をフォローアップするサイドキックの役割であり、主人公サイドの主軸はあくまで白雪姫であることが分かります。余談ですが、ここでサイドキック視点の物語を再構築すると『ライオン・キング3 ハクナ・マタタ』『美女と野獣:シング・アロング』のような派生作品が生まれます。


最後に女王の視点も確認しておきましょう。
「世界一の美女になるため障害となる白雪姫を殺害しようとするが失敗してしまい、自ら老婆に扮して毒リンゴで眠らせることに成功するが、七人のこびとに追い詰められて崖から転落死してしまう物語」です。悪役視点なので失敗の物語となりますね。彼女の教訓は「美を追求するあまり身の破滅を招いた」という教訓が描かれます。


仮説① 見知らぬ人にも親切にしよう

七人のこびとの視点で考えてみましょう。こびとたちは仕事からの帰宅後、ベッドで寝ている見知らぬ女の子を警戒していました。彼らはその女の子「白雪姫」の境遇を聞き、匿うことを決意しました。最終的に彼らは白雪姫という素晴らしい友ができました。「人に親切に」というのは人間として大切なテーマですよね。

仮説② 美しさに惑わされるな

では、美を追い求めて身の破滅を招いた女王を教訓とするのが物語のテーマなのでしょうか?物語のありがちなテーマに「●●より大切なものがある」というパターンがあります。「●●」には「美しさ」や「お金」「地位」などのように、「価値はあるけど卑しい」としやすいものが入ります。逆に「友情」「家族愛」「思いやり」のように耳心地のよい言葉は入りません。


なるほど、「女王のように美しさにとらわれて道を踏み外してはいけないよ」というメッセージ性ならあり得そうですよね。


こちらの二つの仮説、どちらもアニメ映画のテーマとしては申し分の無いメッセージではないでしょうか。しかし仮説は仮説。これらの仮説に一石を投じてしまう人物がいるのです。どこのどいつだい?



アタシだよっ

反証① 見知らぬ人にも親切にしよう

白雪姫は見知らぬ老婆に親切にしたばっかりに命の危険を経験しました。むしろ「見知らぬ人には用心しろ」というほうがテーマに近いと言えるでしょう。もし逆に、七人のこびとが見知らぬ人に厳しければ白雪姫は路頭に迷っていた可能性も考えられます。

反証② 美しさに惑わされるな

なんせ主人公はこの世で一番美しい女、白雪姫です。繰り返しにはなりますが、ストーリーにおける白雪姫は基本的に受け身の存在でありながら、狩人に見逃され、こびとに歓迎され、王子に救われています。狩人が白雪姫を逃したのは罪悪感からだと想定されますが、白雪姫の容姿次第ではブッスリやられてたかもわかりません。こびとに初めて出会った際もお姫様という地位や家事スキル、そしてもちろん愛らしさも彼らに好印象を与えました。白雪姫の容姿次第ではほっぽり出されてたかもわかりません。王子との出会いにおいてもそうです。白雪姫の容姿次第では素通りされていたかもわかりません。白雪姫が生き延びるこの物語において、彼女の容姿が与えた影響を無視することはできないのです。

さいごに

『白雪姫』は「人に親切にしよう!」「目先の美しさにとらわれてはいけない!」といったシンプルなテーマで括ることなく、視点が違えば教訓も違う………そんな物事の捉え方の差異や二面性を持つテーマについてシニカルに描き出しているのかもしれません。だとすると、馴染みのあるおとぎ話がにわかに深い味わいのある物語に感じられてくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。


当ブログ『ディズニー データベース別館』では、誰か一人にでも響いたらいいなをコンセプトに不定期で記事を更新しております。またご縁がありましたら是非。


ちなみに、今年は『白雪姫』公開85周年を迎えます。映画の楽しみは人それぞれ。あなたはどんな視点でこの映画を楽しむのが好きですか?



END