みなさん、ニーハオでございます。
いよいよ2020年9月4日の16時に実写版『ムーラン』がDisney+で配信開始されます。やったね!
『ムーラン』は1998年に劇場公開された長編アニメーション映画で、初めて中国を舞台にした作品として注目を集めました。近年の長編アニメ実写化ラッシュの一環で、『ムーラン』も2018年に劇場公開される予定でした。その後、『くるみ割り人形と秘密の王国』に押し出される形で延期となり、2020年に公開される予定でした。でしたなんです。でしたはずが…。
【画像出典】
『ムーラン』配信リリースに世界の映画館が猛反発「劇場への侮辱行為」 ─ 仏映画館主、広報展示物を破壊 | THE RIVER
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、原則Disney+サービス対象国では劇場公開中止→配信スルーとなりました。9月4日の16時よりDisney+会員が追加料金2,980円を支払うことで視聴可能となります。その他の新型コロナウイルス関連のトピックは以下をご参照ください。
この『ムーラン』の追加料金に関しては、視聴権の購入(プレミアアクセス)という扱いになっており、Blu-ray化の予定やサブスクリプション配信の予定に関しては公式では触れられていません。日本のファンからはこの値段設定は「高すぎる」という声も多く、映画館の大画面や高音質を楽しみにしていた人が多かったことも伺えます。家族で見る場合や、英語や日本語の音声・字幕を自在に切り替えて繰り返し見る人には良い感じの値段ですが、一人で一度だけ観るつもりだった人からはかなりの痛手たもなり得ます。ちなみにディズニーは品質に見合った妥当な値段設定だとコメントしています。
ディズニー公式の発表ではありませんが、アメリカ版Disney+では12月4日からサブスクリプション配信が開始されるのではといった報道も出ています。現状、日本版Disney+では音声が2.0chであったり、画質がフルHDといった制約があるので、理想的なクオリティで視聴できない可能性もあります。よく考えてから購入できるといいですね。
さて、根強いファンがいる『ムーラン』は実写版でどうなるのか。この強気な値段設定で実写版を視聴しようとする方はアニメ版に思い入れがある人が多いかと思いますが、中にはアニメ版にはそこまで興味ないけど、実写版が超楽しみというレアな人もいるかもしれません。その中でもさらに「今からアニメ版を予習しようかなぁ」と迷っている日本人が一人でもいるかもしれません。
というわけで、今回は「『ムーラン』について1ミリも知らないけど実写化に向けて数時間で予習しなければならない」という人をお助けします。いるのか。
では、今回も1億3,000万人の誰か一人にでも響くことを祈って…!
- 目次
Disney+で視聴可能な作品
ムーラン
実写版『ムーラン』を視聴するためには前提としてDisney+に入っているはずなので、追加料金なしでそのまま視聴可能な四本をご紹介します。というか、アニメ版を予習せずに実写版だけを観る的な縛りをしていない限りはアニメ版を観ておけば十分です。
ムーランは中国の故事『木蘭辞』に登場する女性で、中国の歌や伝説に登場する有名な女将軍とされています。ムーランの苗字は花(ファ)で、名は木蘭(ムーラン)です。木蘭とはマグノリアの花のことです。ディズニーではフロリダのゴルフコースの名前に使われていたり、『南部の唄』の舞台の農園に咲いていたりするイメージですね。
『木蘭辞』では、木蘭は父の代わりに男装して戦場へ向かい、手柄を立ててその褒美に故郷へ帰らせてもらいます。帰宅後に彼女が素性を明かすと、軍隊の仲間たちは驚くというオチになっています。この詩が様々なパターンに脚色され、京劇として親しまれています。
ディズニーのアニメ版『ムーラン』も基本的にはこのあらすじをアレンジしたものとなっています。原典では正体を明かすことがオチに使われていますが、ディズニー版では「女性が入隊することは規律違反であり、死罪にあたる」とタブーである旨が説明されています。
【ストーリー】
ファ家のムーランはお見合いに失敗して仲人を怒らせてしまう。ムーランは派手な化粧をした自分の姿に違和感を覚えていた。そんな折、シャン・ユー率いるフン族の侵攻によって国に一家一名男子の徴兵に応じなければならない命令が下る。しかし、ファ家には高齢の父ファ・ズーしかいなかった。ムーランは父を守るために男装してピンと名乗り従軍する。果たしてムーランは無事にバレずに任務を成し遂げることができるのか?
【画像出典】
Fa Mulan/Gallery/Films and Television | Disney Wiki | Fandom
『ムーラン』は他の作品とは絵の雰囲気が異色ですが、ディズニーらしい魅力的なサイドキックスが登場します。ムーランを活躍させて、一族の守り神に返り咲きたいドラゴンのムーシューはアメリカナイズされたキャラクターで、ハイテンションのマシンガントークやダジャレを連発します。アジア系のキャストが多く配役された本作でムーシューを担当したのはエディ・マーフィで、彼の影響を大きく受けた楽しいキャラクターとなっています。
アニメ版制作当時、『ムーラン』を作るかスコットランドのドラゴンの物語を作るかという状況で、「『ムーラン』なら中国の物語だからドラゴンを出せるだろう」という判断で『ムーラン』が選ばれたという経緯があります。アニメ版ではムーシューはドラゴン枠として必要だったという説がありますが、実写版ではムーシューは登場せず、鳳凰が登場しています。
喋らない動物キャラクター枠のクリキー(コオロギ)とカーン(馬)も表情豊かで、ムーランの冒険に彩りを添えてくれます。クリキーのほうは本編からカットされかけるほど存在意義を疑問視されることもありますが、ベテラン・ストーリー・アーティストのジョー・グラントが考案した由緒正しいキャラクターでもあります。
【画像出典】
Yesterland: Disney-MGM Studios — The End of the MGM Name
『ムーラン』はフロリダのテーマパーク『ディズニー・MGM・スタジオ』(現在はディズニー・ハリウッド・スタジオ)内に併設されているアニメーション・スタジオで単独制作された長編アニメ映画となっています。同スタジオは同時上映の短編映画や『アラジン』『ライオン・キング』などのサポートを経ての抜擢となりました。ディズニー・ルネッサンスと呼ばれる時代の後期に制作された本作はそうした点でも新たの試みとなっています。
続いて音楽です。一年に一度ぐらいのペースで勘違いされている方を見かけるのですが、『ムーラン』の楽曲制作はアラン・メンケンではなく、デビッド・ジッペルとマシュー・ワイルダーです。スコアは大ベテランのジェリー・ゴールドスミス(『ソアリン』)が作曲しており、中国を思わせるエキゾチックな曲調で世界観を表現しています。
また、『ムーラン』には『リフレクション』という主題歌があり、女性らしく振る舞わなければならないという社会規範に馴染むことのできないヒロインの心の内が表現されています。美しい楽曲で、上海ディズニーランドではパレードやナイトショー、アトラクションなど様々なところで聞くことができます。
エンド・クレジットのポップス・バージョンを担当したのはクリスティーナ・アギレラ。今でこそ有名な彼女ですが、当時は17歳で歌手としての代表曲はありませんでした。彼女は12~14歳の時に『The Mickey Mouse Club』に出演していたいわゆるディズニー・チャンネル出身のアーティストであり、同期にはブリトニー・スピアーズやジャスティン・ティンバーレイクがいました。
今回の実写版でもアギレラが同曲をしっとりと再録し、さらに新曲『Loyal Brave True』も披露しています。
『リフレクション』のほかにも『家に名誉を』『闘志を燃やせ!』『愛しき女よ』といった楽曲が揃っています。『闘志を燃やせ!』はシャン隊長がメインボーカルであり、中国語、広東語ではシャン隊長役のジャッキー・チェンが歌を披露しています。どっちのバージョンがお好み?
【画像出典】
Mulan: Special Edition DVD Review
アニメ版のヴィランズは、シャン・ユーというフン族の長であり彼らが中国に進行してきたところから物語が始まります。彼は近年のスタイリッシュな悪役たちと比べると没個性的で、口数も少なく歌などもありません。シャン・ユー(単于)という名前自体が遊牧民のリーダーを意味する言葉であることからも特定の個人名は設定されていないようで、悪役のインパクトに引っ張られすぎることなく、ムーランの冒険を演出してくれています。日本語版では藤岡弘、さん、英語版ではミゲル・フェラーが声を担当しています。
実写版では、悪役がシェン・ラン(妖精の狼)という名前の魔女に変更されています。何やら秘密がありそうなキャラクターですが、本編ではどのような活躍をしてくれるのでしょうか。この変更はストーリーにも影響がありそうですね。アニメ版をチェックするには悪役にも注目してみてください。
※以下、映画『ムーラン』のネタバレを含む可能性があります。閲覧にはご注意ください。
ムーラン2
『ムーラン』の一ヶ月後を描いたビデオ用映画です。『ムーラン』本編の後日談を描く物語であるので、優先度はガクッと下がります。実写版の予習としては必須ではありませんが、前作でムーランや仲間たちのキャラクターを気に入った方であれば、チェックしてみてもよいかと思います。
【ストーリー】
前作から一ヶ月後。シャン将軍とムーランは結婚の準備を始めるが、お互いの考え方の違いに気付き始める。そんなある日、シャンとムーランは皇帝から皇女メイ、ティンティン、スーをキ・ゴン王国に嫁がせるための護衛を任される。シャンとムーランはヤオ、リン、チェン・ポーとともに護衛を開始する。
前作では「女性らしくあれ」というジェンダー規範に悩みながらも、自分らしさを突き通して幸せを掴んだムーランが皇女たちの政略結婚に疑問を持ち、彼女たちに「自分の心に従うべき」とアドバイスします。皇女たちも「国のための政略結婚は名誉なことだ」と気丈に振る舞いますが、それぞれ本心では思い悩んでいます。彼女たちは幸せを掴むことができるのでしょうか?
前作のキャラクターがほとんど再登場し、声優陣もムーシュー役のエディ・マーフィ以外はほとんど続投しています。新キャラクターの一人である皇女のメイ役にはルーシー・リュー。吹替もルーシーの初期作品を複数担当していた阿部桐子さんというこだわりっぷりも渋い。
楽曲面では、前作の『愛しき女よ』の替え歌が歌われたり、皇女たちが胸の内をぶちまける『普通の子になりたい』といった曲が誕生しています。後者はアトミック・キトゥンによるカバーもエンド・クレジットで楽しめます。
◆こんな人におすすめ
- ビデオ用の続編映画に抵抗がない
- キャラクターたちのその後が気になる
- ムーシューが好き過ぎない
ちいさなプリンセス ソフィア
歴代プリンセスがゲスト出演するTVシリーズ『ちいさなプリンセス ソフィア』では、シーズン2第12話『どうくつのたからもの』にムーランが登場しています。
【画像出典】
Fa Mulan/Gallery/Films and Television | Disney Wiki | Fandom
ソフィアの義兄と義父が洞窟で迷子になってしまい、ソフィア、アンバー、ジュンは救助へ向かいます。諦めかけているソフィアたちの前にペンダントで導かれたムーランが現れてアドバイスします。ゲストプリンセスの登場シーンの長さは個人差がありますが、ムーランは新曲も与えられていて比較的優遇されています。
最終回にも出番があるとかないとか…?
◆こんな人におすすめ
- ムーランの新曲が聞きたい
- 映画『ムーラン』で一番好きなシーンが竹やぶだ
シュガー・ラッシュ:オンライン(2018)
オンライン世界で歴代ディズニープリンセスの共演が話題となった本作。『ムーラン』からはムーランが登場し、貴重な現代風私服姿を披露しています。
ムーラン、というかすずきさんの無駄にかっこいい一言は必聴。
Disney+で視聴可能な関連作品
ムーランは登場しませんが、Disney+で視聴可能な関連作品をご紹介します。
ワンス・アポン・ア・タイム
『ワンス・アポン・ア・タイム』は、ABCで放送された人気ドラマシリーズです。おとぎ話の住人たちがその記憶を失って現代の街で生活を余儀なくされるというストーリーで、おとぎ話時代と現代の物語が同時進行的に描かれるのが特徴です。
【画像出典】
Fa Mulan/Gallery/Films and Television | Disney Wiki | Fandom
ムーランは主にシーズン2で登場し、オーロラ姫とフィリップ王子とともに行動します。その冒険の中でオーロラ姫に特別な感情を抱くといった設定となっています。Disney+でも視聴可能な以下のエピソードにムーランが登場します。
シーズン2第1話 | 破れた呪い |
シーズン2第2話 | 町の境界線 |
シーズン2第3話 | 湖の淑女 |
シーズン2第5話 | ホエールの正体 |
シーズン2第6話 | ドリームキャッチャー |
シーズン2第8話 | 眠りの呪い |
シーズン2第9話 | ハートの女王 |
シーズン2第11話 | 町への侵入者 |
シーズン3第1話 | 本当に信じる者の心 |
シーズン3第3話 | ある妖精のおはなし |
シーズン5第9話 | 魔法の兜 |
シーズン5第18話 | 魔法の靴 |
ちなみにこのドラマシリーズでムーランを演じたのは、『ベイマックス』のゴー・ゴー役を担当しているジェイミー・チャン。実写版『ムーラン』のビジュアルが公開された今でも、実写のムーランといえばジェイミーのほうを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
◆こんな人におすすめ
- 本編とは異なる実写のムーランが観たい
- 2020年版のムーランがイメージに合わなかった
ディセンダント
【画像出典】
Lonnie (Descendants)/Gallery | Disney Wiki | Fandom
ディズニーキャラクターたちの子孫を主人公にしたパラレルワールドのテレビ映画『ディセンダント』『ディセンダント2』にはムーランとシャン将軍の娘ロニーが登場します。性格は明るく、友達思いのキャラクターとして描かれています。
【画像出典】
Lonnie (Descendants)/Gallery | Disney Wiki | Fandom
ミニアニメシリーズ『ディセンダント キケンな世界』では、アニメバージョンで登場します。
◆こんな人におすすめ
- ムーランのご息女に一度はご挨拶しておきたい
その他の映像作品
ハウス・オブ・マウス ミッキーとディズニーのなかまたち
ウォルト・ディズニー生誕100周年記念作品である『ハウス・オブ・マウス ミッキーとディズニーのなかまたち』には様々なキャラクターが登場しており、『ムーラン』のキャラクターも少しだけ顔を出しています。ドナルドを真っ二つに割るムーランも登場。
TVシリーズは未ソフト化ですが、クリスマスSPの『ミッキーのマジカル・クリスマス 雪の日のゆかいなパーティー』は比較的簡単に視聴可能です。ムーシューには台詞もあるだけでなく、なんとパッケージイラストでミッキーとも共演しています。
ゲーム作品
キングダム ハーツ
ディズニーとスクウェアのタッグによるアクションRPGゲームの第1作『キングダム ハーツ』では、召喚魔法としてムーシューが登場します。
PS2、PS3、PS4の3ハードで発売されています。PS3、PS4ではアビリティ『EXPゼロ』と組み合わせることでムーシューがボスに対して驚異的な火力を発揮するという裏技もあります。
キングダム ハーツII
前2作ではムーシューのゲスト出演のみでしたが、本作では『ムーラン』のワールドを冒険することができます。シナリオも2種類用意されており、一周目では映画のストーリーに沿ってソラ、ドナルド、グーフィーが男装するムーランに協力し、シャン・ユーとの戦いに挑みます。二周目ではソラの友人捜しというオリジナルストーリーが展開されます。
ゲーム内では、ムーランとムーシューが出会った竹やぶや、シャン隊長の特訓を受けた野営地、シャン・ユーに襲撃されたトンシャオ峠、ムーランが雪崩を起こした雪山、そして決戦の場となる帝都といったマップが再現されています。
パーティーメンバーとして参戦するムーランはソラと出会った当初はほとんど役に立たないお荷物キャラですが、訓練を終えてムーシューの力を解禁してからは炎技を駆使して戦う強力な仲間となります。
『ムーラン』の物語や世界を3Dで体験できるという点で非常に魅力的なゲームといえるでしょう。PS2、PS3、PS4でプレイ可能です。
ディズニーインフィニティ3.0
マルチプラットフォームで展開されるゲーム『ディズニーインフィニティ』シリーズの第3弾です。ムーランのフィギュアをスキャンすることでムーランが使用可能になるほか、ムーランの村を冒険することもできます。
トイボックスという設定なのでデフォルメはされていますが、『キングダム ハーツII』とはまた違った一面を体験することができます。
Disney クロッシーロード
スマートフォン用アプリ『Disney クロッシーロード』では、『ムーラン』のキャラクターを選ぶとムーランのステージで遊ぶことができます。キャラクターの入手条件は基本的にはガチャなので入手には時間がかかる可能性もありますが、比較的ハードルは低めです。BGMは『家に名誉を』の8-bitアレンジなので、レトロゲーム音楽が好きな人もぜひ。
おわりに
ムーランがこの20年間に登場してきた様々な映像およびゲーム作品についてご紹介しました。『シュガー・ラッシュ:オンライン』のように王族ではなくてもプリンセスとして扱われることもあるムーランはプリンセス・シリーズの書籍など様々な媒体にも登場しています。
実写化を機に、これまでのムーランの活躍をテレビやゲームで振り返ってみてはいかがでしょうか。この先も地上波ゴールデン放送には恵まれそうになさそうですし…。