ディズニー データベース 別館

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『シリー・シンフォニー』(3)アニメ初のアカデミー賞

世界で初めてアカデミー賞を受賞したアニメーションは何でしょう?


1932年、ディズニーはまた新たな試みに挑戦します。『花と木』というモノクロのアニメを作っていた時、彼らはちょうどテクニカラーの技術を学んでいました。この技術をアニメーションで契約を結んだことで、ウォルトは兄のロイに『花と木』をカラーで作り直すと宣言しました。


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「え、マジで……?」


カラーの予算はモノクロの3倍。ロイはまたもや資金集めに奔走するのでした。彼のことは親しみを込めて「資金集めのロイ」とでも呼んであげてください。


さて、それまでのカラー映画というと、キネマカラー(シネカラー)が一般的でした。赤と緑のフィルムを交互に高速表示してチカチカ見せることによって、カラーに見えるという目の錯覚を利用したものでした。この技術は1909年から使われましたが、上映設備や戦争の影響でわずか5年で消えていってしまったのです。


一方、ディズニーの学んでいたテクニカラーという技術は3原色を用いたカラーでした。赤、緑、青の三色を組み合わせて作る綺麗なカラーのことで、ディズニーはこれを3年間独占して使う契約を結んでいました。


アブ・アイワークスをはじめとするライバル達はキネマカラー、つまり2原色のカラーしか使えませんでした。テクニカラーとキネマカラーの最大の違いは3原色のうち、青が綺麗に出せるかといったところでした。


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見よ、これがテクニカラーの”青”だ!


このテクニカラーが実写映画に広く採用されるようになったきっかけがMGMの「オズの魔法使」(1939年)なのですが、それはまた別のお話なのであります。


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テクニカラー様様のマンチキンのシーン


世界初のトーキーアニメーションに続いて、またもや世界初であるカラーアニメーションをディズニーは実現してしまったのでした。ちなみに1932年の第5回アカデミー賞は、初めてアカデミー短編アニメ映画賞が新設された年でした。アニメ史上初のアカデミー賞はディズニーの『花と木』だったわけです。


『花と木』は、若い木のカップルの物語。二人の様子が気に食わない年老いた嫌われ者の木は火をおこして妨害しようとしますが、それによって自滅してしまいます。最終的には花や森たちの消火活動のおかげで無事にハッピーエンドを迎えます。花や木たちがその特性を活かしたリアクションや、結婚行進曲のメロディを奏でるシーン、そして火を消した雨上がりに虹が架かるシーンなど初期のディズニークラシックらしいセンスが光る一作です。音楽とアニメーションの面白さに鮮やかな色が加わり、ディズニーのアニメーション映画はさらなる魅力を増したのでした。


そんなシリー・シンフォニーはスタッフの教育の場であり、新しい技術実験の場でもあったのですが、いくつもの高い評価を得る作品も制作し、アカデミー短編アニメ映画賞を6回も受賞しました。あのミッキーさんやドナルドさんですら1回しか成し得なかった偉業であることを踏まえると、その評価の高さが窺えることでしょう。


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